歯周病が引き起こす全身疾患
歯周病は口内環境のバランスを崩し炎症を引き起こすことがあります。
この炎症は体内の免疫応答を刺激し、さまざまな全身疾患のリスクを増加させる可能性があります。
因果関係が明らかなものや、関与の程度に違いがあるもの、まだ解明が充分でないものもありますが、口腔内を清潔に保つことが病気においても重要であることが分かっています。
メタボリックシンドロームは、高血圧、高血糖、高脂血症などの要因が組み合わさった状態で動脈硬化や糖尿病のリスクを増加させます。歯周病の炎症が炎症性物質の増加を引き起こし、メタボリックシンドロームの発症を促進する可能性があります。
脳血管疾患は日本人の死因第3位となっています。歯周病菌が脳の血管の流れに入り込んで血液凝固を起こすことで血液の流れに障害を起こします。これにより脳梗塞の発症リスクが増大する可能性があるとされています。
骨粗鬆症は骨密度の低下によって骨が弱くなり、骨折しやすくなる状態です。歯周病の炎症が骨の吸収を促進し、骨粗鬆症のリスクを増加させる可能性があります。
誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に侵入し肺炎を引き起こす病気です。歯周病により口内の細菌数が増加するため、誤嚥性肺炎のリスクが高まる可能性があります。
歯周病菌が心臓血管に流れ込み心臓まで到達すると、細菌性心内膜炎や心筋梗塞などの心臓病をひきおこす可能性があります。
関節炎とは、免疫異常によって関節に痛みや腫れが生じる病気です。歯周病菌が周りのたんぱく質の形を変えて、それを取り除こうと免疫細胞が崩れることによって関節炎を発症してしまう可能性が考えられています。歯周病が原因で関節炎の症状を悪化させることがあるため注意が必要です。
歯周病が進行するとピロリ菌の検出率が高くなると言われており、ピロリ菌の増加による胃の感染症や胃潰瘍、胃がんのリスクが示唆されています。
歯周病の炎症が全身の炎症反応を刺激し、腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。
歯周病は妊娠中の女性にとっても重要な問題です。歯周病が進行すると、早産や低体重児出産のリスクが増加する可能性があるため、妊娠中の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
歯周病菌が血流に侵入し全身を巡ることで皮膚疾患の発症リスクが増加する可能性があります。
バージャー病とは、四肢の主幹動脈に閉塞性の血管全層炎をおこす病気です。免疫系に影響を及ぼす疾患であり、歯周病との関連性が指摘されています。免疫系の調節に関わってくるため、歯周病予防はバージャー病患者さまにとっても非常に重要です。
治療が終わった時の良い状態を維持するのはなかなか難しいです。
表を見て頂くと分かるように、メインテナンスを受けた人と痛くなった時に治療した人では80歳の残存歯数が大きく変わってきます。
定期的な歯科健診を受けている人ほど、年間医科医療費が少ないことが分かりました。
定期的に歯ぐきや虫歯のチェック、ブラッシング指導など、様々な観点から診査を行うことで全身疾患の予防になっていると考えられ、結果として年間の医療費が少なくすみます。口腔内だけでなく、全身の健康を保つためにも定期的に歯科医院を受診しましょう。
出典:平成25年度香川県 歯の健康と医療費に関する実態調査